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 再び、ポンペイの壁画と秘儀荘の壁画に戻ります。ここにお見せするほとんどの壁画は、以前にもお断りしたように、「iseki neko遺跡猫」さんのブログから引用させていただいております。

 秘儀の部屋の正面の壁画です。


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 こちらは、ディオニソスと思われます。

 ポンペイ遺跡の発掘は、18世紀中頃に始めて行われ、本格的には20世紀に入ってからです。今でも発掘は続いています。ポンペイ遺跡の四分の一はまだ未発掘です。記録によるとベスビオ火山の噴火は8月であったそうですが、その定説を覆す発見が最近ありました。壁塗り職人が残した文字と発見された当時の植物から、噴火は10月の秋であったという新説が唱えられました。

 秘儀の部屋の壁画の解釈も、ヨーロッパの様々な学者によってなされてきました。それらを纏めた日本人研究者の論文を読みましたので、次回、説明します。

 (続く)

# by araeshuzo | 2019-12-04 17:14 | 旅行記雑感

 ディオニソス(英語でバッカス、イタリア語ではバッコス)は、豊穣の神、葡萄酒の神、酩酊の神、農耕の神とされていますが、誕生からして異常です。ゼウスが愛人に腹ませた子ですから、本妻から匿うためにゼウスは腿の中にディオニソスを埋め込み臨月を待って誕生させます。(スゴイ神話ですね)そして、実母(ゼウスの愛人)の姉妹に育てさせます。こんな生い立ちからでしょうか、ディオニソスは狂い彷徨します。こんな彼を救った人(神?)がいて、ブドウ栽培などを身に着け、やがてギリシャ、エジプト、シリア、インドに至るまで彼の神性を認める人たちが出て来ます。よほど農耕を通じて人々に貢献したのでしょうね。人間、ありがたいことをしてくれた人を神格化しますから。魔術・呪術をも使ったと言いますから、預言者でもあったのでしょう。こうなると、もはやスーパースターです。あちこちの村で町で女の子たちはワーワーキャーキャー踊り狂い、キチガイ状態。

 こんな状況を見て、ペンテウスという男は、ディオニソスの秘儀を淫らで、いかがわしいと思い、その祭儀を盗み見ようとします。そして、信者の女性たちに八つ裂きにされてしまいます。正に、狂気ですね。ディオニソス劇場というのが、アテナイにあって、紀元前に建設されたものですが、現在でも修復されて残っています。ディオニソスは劇場の神でもあり、後世の哲学者から激情性の演劇と評されていますが、狂気を伴うものがあるからでしょう。

 紀元前186年、ローマの元老院はディオニソスの秘儀を危険視して、禁止します。解放奴隷の男が、元の主人が男色殺人を行い、また、相続侵害犯罪行為を行ったと告発し、女主人とディオニソス信仰の儀礼がきっかけだと説明したためのようです。


 
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この映像は、ローマ国立博物館の古代の巫女を描いた動画です。森でワインの入ったカップを高く上げています。

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 そして、飲み干し、

 
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 倒れて、失神してしまいます。

 
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 これは、ブドウの束を持ったディオニソスでしょうか?

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 これらの画像がディオニソス信仰と関係があるのか分かりませんが、おそらく、これと似たものがあったのでしょう。

 私は、ディオニソス信仰を単に狂気とかいかがわしいとかで片付けられないと感じています。もっと人間の根幹に関わる本質的な哲学が潜んでいる気がします。これから、それに迫って行きます。

 (続く)

# by araeshuzo | 2019-12-02 11:57 | 旅行記雑感

 元々は、ギリシャの神ではなくオリエントから伝えられたとされるディオニソス信仰、なのにゼウスの子供とされたり、オリンポス12神に入れられたり外らされたり不思議な神様ですね。ちょっと、七福神みたいな。

 さて、ポンペイの秘儀荘に戻りましょう。

 
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 ポンペイレッドと呼ばれる壁画背景の赤ですが、多くのローマの美術・建築物にはローマンレッドと言われ赤が用いられています。この絵、まるで日本の絵巻のようですね。秘儀の順番が描かれています。少年がこれから行われる恐ろしい秘儀の手順を入信者に伝えるための文書を読み上げています。


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 左から二番目の女性は、女性祭司。臨月と思われる女性の姿、結婚の準備をしていると思われる娘の姿も見られます。

 
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 楽器を奏でている男性の姿も興味深いです。

 
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 こちらは、九州の吉野ケ里遺跡です。弥生時代の遺跡で村落を守る砦の原型が窺われます。

 
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こちらは、村の支配者の館。

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 二階の部屋では、このように食事をしたり、会議を開いたりしたのでよう。


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 そして、最上階では、このような巫女による密儀が開かれていました。村長は、困ったことがあったり、困難なことがあると神がかりになった巫女のお告げに従ったそうです。トランス状態になりやすいように琴が(右奥)奏でられ、火も焚かれています。ディオニソスは、魔術・呪術をもって、神として畏怖されたそうです。なんだか、面白い共通点ですね。自然界で人間が生きていくことの不確実性は、今も変わらないことですが、古代では不安がもっと強かったでしょうね。今でも女性は占いが大好きです。巫女の遺伝子が受け継がれているのかもしれません。東京銀座には、女性占い師がたくさんいるそうです。

 (続く)



# by araeshuzo | 2019-11-30 22:46 | 旅行記雑感

そもそもディオニソスとは、

ギリシア神話ブドウ酒の神。神話上はゼウスセメレの子とされるが、本来はトラキアまたはマケドニア宗教狂乱儀式を伴う神で、それがギリシア輸入されたものと考えられるローマ神話ではバックスで、英語読みでバッカスBacchus)という。その祭ディオニュシア悲喜劇競演があるので演劇の神にもされる。ニーチェ激情芸術ディオニュソス的芸術呼び静観芸術アポロ芸術と呼んだ。→ ディオニュシア」(世界宗教学辞典より引用)

 「古代ギリシアの神。 豊穣とブドウ酒の神とされ,その崇拝は集団的興奮のうちに恍惚(こうこつ)境に入る祭儀を伴った。 彼にはまた小アジアのリュディア語に由来するバッコスBakchosの別名があり,ローマ神話ではこちらを採ってバックスBacchusと呼ぶ。 バッカスはその英語読み。」(ネット記事より引用)

 簡単なディオニソスについての説明は、上記のようなものなのですが、東方由来の神で、ギリシャ神話の大神ゼウスの子供というのは、後からのこじつけでしょう。オリンポス12神の中に入れてもらったり、外れたりしてます。上記の説明では、語れないものがあります。


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 ヘレニズム風で、古代ローマに作られたディオニソスの大理石像です。フランスのルーブル美術館所蔵のもののようです。ウイキペディアから引用させていただきました。ブドウと一緒に描かれているのがこの神様の本質を表していますね。危険視されながらも、古代ローマの文化・風俗・思想に多大な影響を与え、ポンペイの壁画や秘儀荘の謎を解く重要な神と思います。

(続く)

# by araeshuzo | 2019-10-27 00:34 | 旅行記雑感

 ポンペイ遺跡の近くに秘儀荘と呼ばれる個人邸宅址があります。イタリア語でvilla di misteriですから、直訳すると「神秘の館」ですね。駅の名前にもなっています。時間がなくて、私は実際秘儀荘に立ち寄れませんでしたので、下にお見せする写真は「iseki neko遺跡猫」さんのブログからの引用です。

 
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 最近、修復整備されたそうです。

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 かなり、豪勢な建物ですね。2000年前で床にキレイな石がはめ込まれています。部屋の数は90室、ワインの製造所もあったといいますから、貴族階級か富裕な商人の館、もしくは夏の別荘だったかもしれません。ポンペイでは、奴隷が一生懸命はたらいて、主人にお金を払い、解放されて富裕な商人とか政治家になることがあったそうです。ローマにもそんな例の遺跡あります。この秘儀荘は、奴隷出身者の館だったかもしれません。


 何故、秘儀荘と呼ばれるのか?個人の富豪の屋敷が。それは、


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 この部屋があるからです。秘儀の部屋です。「秘密の儀式の部屋」ディオニソス信仰は、方や危険視されていた宗教ですから、信者以外に見られない儀式を密かに行っていたのでしょう。儀式の様子は、壁に描かれています。


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 子供を真っ裸にして、何か読ませています。今、こんな事したら、児童虐待で警察に捕まるのでは?

 (続く)



# by araeshuzo | 2019-10-14 18:22 | 旅行記雑感

両毛青少年国際交流クラブ・荒江学習塾で生きてきて、私がやっていること、言いたいこと

by araeshuzo
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